うつ病の方が復職するためには

最終更新日 2024年2月8日 by barrya

1.うつ病の実態

現代病ひとつと言われている病気に、うつ病があります。原因ははっきりとした事は解明されていません。ですが、仕事での大きなストレスや昇進などのプレッシャーが引き金となるケースがよく見られます。これらは決して、他人事ではありません。病気の原因として考えられているものの中には特定の脳内物質の発生が少ないという理由もあげられています。単なる心の持ちようの病気として考えるのではなく、脳の疾患の可能性も否定できないのです。誰でもかかる可能性があるので、現代人は健康的な生活とメンタルを保つ必要があります。

うつ病の中でも難しいと言われているのが、復帰のタイミングです。うつ病の場合は完治したという明確な線引きがありません。症状がおさまったとしても、医師の指導のもと減薬に取り組む必要があるのです。寛解と呼ばれるこの状況は、著しい症状はおさまったとはいえ、再発の可能性が消えたわけではないという意味とされています。うつ病の代表的な症状は不眠や不安感、体が動かない・判断が出来ない・希死念慮など様々なものがあげられます。これらが医師の指導によって改善されたとしても復職を急いではいけません。病気に改善のきざしが見られた場合、多くの患者はそれまで休んでいた仕事の遅れや職責の挽回のために焦って仕事に打ち込む事があります。これが再度の病気を誘発し、より重い病気にかかってしまう事が多いのです。

うつ病の復職は、正しいプロセスを踏んで慎重に行う事が大切です。まず最近眠れない、判断が鈍くなった・お酒を多く服用する等の変化を2週間以上感じた時には、最寄の精神科か心療内科に一度相談してみましょう。心療内科は「心が原因の体の病気」を診察してくれ、「精神科」は精神疾患を取り扱っています。どちらに通院すればよいかわからない場合は、会社の産業医に相談する・インターネット上のテストを受けて判断すると良いでしょう。もしくはどちらも診察項目としているクリニックへ通う事も良い事です。

2.症状を自覚した際には早めに病院へいくこと

病院選びは回復するために必要なポイントです。あらかじめウェブ上の評判が良いところを探しておきましょう。口コミなどを参考にするのもお勧めです。大抵の病院では初回の診療の際にカウンセリングを行います。自分の具体的な症状や、どのくらい前から始まっているのか等伝えたい事や質問があればメモにまとめておくのも有効です。症状を自覚した際にはなるべく早めの来院を心がけましょう。「言い出しにくい」と悩む人も多いのが現状ですが、上司や周囲に「病院に行くための休みが欲しい」と伝える事が大切です。病気である事は素直に伝えるべきです。もしくはその可能性が強い事をきちんと言いましょう。この段階でゆっくりと休暇を取る事で病気を防止できるという医師もいます。

精神科・心療内科の診察を受け、仕事の長期休暇を願い出る場合は医師の診断書が必要となります。担当の医師に依頼すればきちんと書面で渡してくれるものです。使用用途に応じて書式をわかりやすいものにしてくれる病院もあります。会社に提出するために必要である旨を伝え、診断書を作成してもらいましょう。別途料金が発生する事もあります。診断書と休暇願を一緒に提出する事で、会社では何らかの対策を講じてくれます。引継ぎなどを考慮する必要は基本的にありません。まずは自分の休養を第一に考えましょう。会社で相談しにくい場合は、都道府県の精神保健福祉センターや会社の契約した従業員支援プログラムの窓口に訴えることも可能です。

3.出来るだけ「何もしない」事が大切

医療機関にかかり、治療に専念している際には出来るだけ「何もしない」事が大切です。仕事や家事も出来るだけ行わずよく眠り適切な食事をとりましょう。自己判断で断薬をするのはいけません。薬は脳内物質の安定を促してくれます。治療には欠かす事が出来ません。断薬時期も医師の判断で行う必要があります。症状の改善のきざしが見え、睡眠と食事のサイクルが整ってきた頃はすぐに職場に戻りたくなるものですが、独断で判断してはいけません。復職のためには、まず練習が必要と考えておきましょう。上司や産業医と相談・連絡をしながら復職支援センターに通う事がお勧めです。心療内科や精神科はこれらのセンターと連携している事が多く、復職したい旨を伝えると支援センターを紹介してくれます。支援センターは復職への第一歩として朝・夕方に通い、パソコン作業やメンタルヘルスの基礎などを学んだりする場所です。この期間は「正しい生活習慣を確立させる」ことを重要視するので、その日の体調次第で休む事も許容されています。まずはこういった場所で、体と心を元の環境に慣れさせていく事が非常に大切です。

実際に職場復帰が出来た場合でも、最初の数か月はハードワークを必ず避け簡単な作業からこなしていく事をお勧めします。うつ病の完治は非常に難しく長くつきあう可能性が高い病気です。体力が回復すると同時に、布団から起き出して希死念慮にかられる事もあります。そういった心のゆらぎを控えめにして、正しい心の持ちようを維持できるようになるまでが治療だと考えましょう。