【日本クレアスに学ぶ】事業継承の課題と選択肢

最終更新日 2024年2月8日 by barrya

経営を後継者に引き継ぐ事業継承は、少子高齢化が進む日本において課題の1つとなっている問題です。
経営の引き継ぎは、ただ単に後継者を育てて会社を渡せば良いわけではなく、理念を理解する相手に後のことを任せる大仕事だといえます。
その後継者の育成自体も一筋縄とはいきませんし、即戦力となる人材を採用して簡単に解消することは不可能です。

 

経営者の親族や役員、従業員や社外の中から選ばれる

一般的に後継者は経営者の親族や役員、従業員や社外の中から選ばれます。
家族や親族だと普段から事業について知っていたり、理解が深い可能性があります。
しかし、身近な人間だからといって事業の全てを理解しているとは限りませんし、やはり引き継ぎには準備や時間が掛かります。
役員は既に経営の中核に近い存在ですから、継承先としては有力な選択肢となるでしょう。
従業員も会社に関することを知っている存在ではありますが、経営に関しては詳しいとは限らないです。
つまり、少なくとも経営者としての教育が必要で、更に事業継承を納得して受け入れることが引き継ぎの条件となります。
従業員としては不満なく働いていても、経営者になりたいか、会社の理念を受け入れて事業を継承するかどうかは別です。
一方的に押し付けたり強引に任せることはできませんから、説明したり納得を得る時間が必要です。
社外は継承先が大幅に増える選択肢ですが、経営者が納得するのに時間を要するでしょう。
長年、労力を費やし時間を掛けて育てた会社となれば、他人に手渡すだけでも大きな決断が求められます。
それは時に諦めに似ているともいえますし、経営に関わる誰かがNoといえば、事業継承はスムーズにはいかなくなります。

 

経営者の高齢化の影響が表面化し始めた2010年以降に認知されるように

この問題が表面化したり社会的に認知されるようになったのは、経営者の高齢化の影響が表面化し始めた2010年以降のことです。
特に、中小企業の多くが直面している問題で、企業によっては待ったなしの状況となっています。
継承といっても、経営権だけでなく株式の譲渡や従業員の理解、引き継ぎのタイミングなども綿密に計画することが不可欠です。
準備だけでも必要な期間は5年10年といわれていますから、例えば急に後継者問題が噴出しても、1年以内に事業の継承者を探して引き継ぐのはまず無理です。
どれだけ急いで取り組んだとしても、5年は掛かる仕事になってしまうので、改めて大仕事だといえるでしょう。
経営者は体力が残る早い段階で事業継承の重要性や必要性に気がつき、早め早めに計画を立てたり後継者の育成に取り組み始めるのが理想的です。
規模が比較的小さい会社で、後継者の選定や育成がスムーズに進めば、3年くらいで継承が成功することもあり得ます。
ところが、躓いたり計画通りに継承が進まないと、10年どころかそれ以上掛かってもおかしくないです。
頭に思い浮かべてイメージするのと、実際に計画を立てて取り組むのは大違いですから、事業継承は安易に考えたり先送りしないのが賢明です。

 

早期に決断して安全な着地を目指すことが重要

仮にもし継承者がおらず引き継ぎに失敗すれば、いわゆる廃業という現実に直面します。
資産を売却して清算を行い、従業員については再就職先をサポートするなどして解雇することになります。
会社の都合で解雇となると、当然ながらそれに見合う保障や早めの予告が必要になるでしょう。
事業継承に取り組むとしても、廃業を選ぶとしても、早期に決断して安全な着地を目指すことが重要です。
急過ぎると従業員に負担が掛かって反発を招きますから、万が一にも訴えられてしまわないように注意です。
親族に継承する場合は、資産を含めて引き継いで任せられる経営者の子供が有力です。
実力や実績があれば従業員の理解も得やすいですし、赤の他人と比べて急に辞められる恐れがないのも安心です。
何より、外部に継承したり任せずに済むので、親族から反発が起こりにくいのがメリットとなります。
従業員に対する継承は、親族のみを候補にするよりも選択肢が増えて安心感が高まります。
教育しやすいメリットもありますし、経営に現場での経験が活かせるのも強みです。

 

他社に事業を買収してもらうM&Aのイメージ

他社に事業を買収してもらうM&Aは、身売りのイメージが強いことから敬遠されがちです。
ただ、身近に継承者が見つからない場合に現実的な選択肢になるのも確かです。
従業員の雇用を守りつつ、短期間で継承を完了できる可能性も手に入るので、実はネガティブなイメージばかりではないです。
買収相手にもよりますが、ブランド力を借りて売上を増やしたり、ノウハウを得て新たな商品開発に取り組めるメリットが手に入ります。
会社を手放す経営者には利益、買収する継承先の企業は事業の拡大と、関係するそれぞれにメリットがあるわけです。
買収で不利な条件が提示される恐れや経営に口を挟めなくなるなど、無視できないデメリットも存在します。
このように身内や社内で継承を完結するのも、社外を視野に入れて継承を考えるのも一長一短があります。

 

まとめ

廃業も選択肢の1つですから、あらゆる可能性を考慮して選択肢を明確にしたり、客観的に分析して絞り込み最終候補を選択することが大切です。

手遅れになっては元も子もないので、残された時間を算出、逆算して取り組み始めましょう。

 

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