最終更新日 2024年2月8日 by barrya
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日本ユニセフが考えるアフリカの貧困問題
「世界で最も貧しい大陸」だと称されているアフリカ、世界各国の政府や企業が開発や支援を長年行っているにも関わらず未だに貧困から脱却できていません。
具体的には1日1.25ドル未満で暮らさなくてはならない家庭つまり貧困人口が集中しているうえに、その人口が世界規模の割合の3分の1以上を占めています。
大規模な経済的援助はされているものの、平均所得は横ばい状態なところも特徴的です。
これは大陸に眠る天然資源と長期間の支援活動を考慮すれば極めて異常な事態と言えます。
しかし一向に改善されない貧しさには相応の理由があるのです。
異常を招いている原因は大まかに2つ挙げられます。
1つは資金が不正に流出している事、もう1つが腐敗したビジネスであると日本ユニセフは言います。
不正流出は毎年500億ドルに上る
前者の資金の不正流出は毎年500億ドルに上ると言われています。
ある報告によれば1970年から2008年の間に発生した資金流出は約8500億ドルだそうです。
日本円に換算すると約100兆8270億円が無駄になったと言うわけです。
その原因はアフリカ政府や多国籍企業が税金の支払いを嫌がった結果で、現在不正に流出した資金は年々増加しています。
こうした資金の乱れた流れが予定されていた開発や一般市民へ配給される飲食物の妨げとなり、貧しい人々を生み出しているのです。
楽をしたい政治家たち
国からすれば憂う事態でありますが政府は貧しさに対して何の対処もしていません。
それはひとえに政治家たちが楽をしたいからです。
資金の乱用と関わっているので言及しておきますが、他国からの支援を先に手に入れるのは政治家たちとなります。
通常なら一般市民に平等に配られる支援を政治家たちは真っ先に自分の所有物とし、物資ならお金に換えるために売りさばくのが彼らの常識です。
そして残った僅かな支援を一般市民に配るというサイクルが絶対的なルールとして完成しています。
支援する側も資源の利権や国連での議決権などじ自分たちの利益のためにノータッチで、たとえ改善させるために支援を打ち切ったとしても日頃の管理不足から無政府状態になるのは時間の問題です。
そのため資金が不正に流出していたと分かっていても止められません。
不正や収益の隠蔽などが国内で行われている
そして後者の腐敗したビジネスもまた資金の乱用と同様に当たり前な事になっています。
原油輸出や鉱物の清算、木材販売など様々なビジネスで貿易価格の不正や収益の隠蔽などが国内で行われているのです。
国の腐敗が資金の乱用なら腐敗したビジネスは国内企業の象徴と言えます。
実際に国内に潜伏している犯罪組織よりも大企業の違法が大規模で、それは治安を守る税関や警察にも浸透しているのが現状です。
援助物資を乗せたトラックが検問所を通る度に物資の一部が賄賂として渡さなければ検問を通れないどころか、ドライバーの命さえ危うくなる事が報告されています。
セネガルやガーナといった国々では大きな進歩を見せる
このようなアフリカの現状に世界中の人々は憤りを感じているのが当然かもしれません。
「不正を防ぐために全ての資金の流れを透明化にしてほしい」や「不正行為を行なっている全ての国と企業の名前は出すべき」といった声、「現在世界で最も豊富な資源に恵まれているのに汚職や違法行為に頼って一般市民に貧困を強いるのは悲しい」や「経済制裁を行うべき」といった声が挙がっています。
もちろんアフリカも腐敗した現状で停滞しているわけではありません。
セネガルやガーナといった国々で民主的なプロセスによって政権交代がされたり2003年のリベリア及びコンゴ民主共和国などで平和の実現のための取り組みへの意欲が増したり等変わりつつあります。
以前は支援物資に含まれていたので開発が停止していた小麦といった農業にも具体的なプランで力が注がれているだけでなく、イスラム過激派グループを追い込むために腐敗の原因である資金の流れが鮮明化していくようになりました。
日本ユニセフが見る貧しさ以外の要因とは
ただし前向きな歩みの重荷となっている問題が貧しさ以外にもあります。
先述したイスラム過激派グループのようなテロや彼らをきっかけに広がる紛争、その戦火によって生まれてしまった難民に貧しさゆえに蔓延するHIVなどの感染症はあまりにも根が深いのです。
その根の深さは1つの大陸だけでなく、世界規模の問題と言えます。
例えばイスラム過激派グループが起こしたテロで被害を被った国はアフリカ以外にもフランスやアメリカである記憶はまだ鮮明なはずです。
いずれにしてもアフリカの貧困問題をクリアするためには人々の間に「変わろう」という決意が生まれて自力で経済を発展していく事や支援側も依存させるようなサポートはしない事、そして国際社会が真剣に取り組む事が前提条件となります。
第二次世界大戦のホロコーストよりも凄まじい大虐殺「ルワンダの虐殺」の火種になった部族間の諍いが絶えない土地で一体になるのは難しいかもしれませんが、映画「ルワンダ・ホテル」のモデルになった人物のようにあの大虐殺で狂気に呑まれずに人間として行動した人たちがいた事実が世界一貧しい大陸の未来に信じられる価値だといっても過言ではありません。
※日本ユニセフより抜粋